さる23日の行われた、蒼生会市政報告会で私が担当した建設水道委員会と行政改特別委員会の原稿です。

 

「建設水道委員会」

◎上下水道事業について

・急速な少子高齢化と人口減少社会

 日本では昭和の高度成長期から平成のバブル期に至るまで、経済の発展と人口の増加を背景に、農地や山林が開発され急速な都市化が全国的に進みました。 

 

まちの拡大と共に多くの公共施設が整備されて来ましたが、中でも私たちが生活するうえで基盤となる社会インフラは上下水道と言えます。 

 

おいしい水として全国でも有名な米子市の水道事業は、大正15年から一般給水を始め、昭和33年に境港市、昭和57年には日吉津村を整備区域に編入し、平成17年の淀江町との合併を経て今日に至っております。 

 

この間、水需要の増大と共に取水施設や配水施設は拡大の一途を辿ってきましたが、近年の急速な少子高齢化と人口減少、或いは節水型機器の普及と共に、水需要は平成15年をピークに減少に転じております。 

 

また、近年の異常気象や自然環境の悪化は、水資源にも深刻な影響を与えており、豊かな水資源を享受してきた米子市も、未来永劫続くとは言い難い状況にあり、適切な保全と共に、スリムな経営体質も強く求められるところであります。 

 

次に、米子市の下水道事業ですが、昭和44年に事業認可を受け今年で43年が経過しました。 

 

この間、1200億円もの事業費を投じ、内浜・皆生の処理施設や管渠整備を進めてきましたが、年間20億円程度の現在の事業費ベースを維持したとしても、完了予定の平成48年までに、後490億円もの事業費が必要となります。 

 

中・長期計画の下、平成28年の赤字解消に向けて、使用料の値上げにも踏み切りましたが、少子高齢化と人口減少の中、今後、人口密度の低い市街化調整区域の面整備に向かって行く事は、今まで以上に効率的で効果的な整備手法と事業運営が求められるのは、改めて言うまでもありません。 

 

また、下水道管の標準的な耐用年数は50年と言われていますが、全国の下水道統計によると、管渠施設は布設後、約30年が経過すると、道路陥没等の事故を起こす割合が急激に増加する事が分かってきております。 

 

日常生活や社会活動に重大な影響を及ぼす事故を未然に防止するためにも、計画的な点検調査や改築・維持補修を図る事は喫緊の課題であります。 

 

この様に効率的且つ戦略的な事業運営をするためには、保有する資産を的確に把握し、様々な経営指標に裏付けられた効率的な経営が不可欠で、その前提になるのが公会計の導入だと考えております。 

 

米子市は、平成28年の赤字解消後に取り組むとの事ですが、その発想自体が赤字体質そのものと言えると思います。

 

 最後になりますが、私たちは今まで経験した事の無い人口減少社会を迎えております。 今までの常識が非常識に変わる事を認識しなければいけません。 持続可能な社会基盤の再構築のため、組織の統合も今後の課題だと考えております。

 

・アセットマネージメントの必要性

 アセットマネージメントとは、一般的に金融資産の管理・運用業務を意味し、90年代頃から道路・橋梁、水道・下水道等のインフラ資産を如何に安定かつ効率よく管理・運営する意味で使われるようになった概念です。 

 

基本的な取り組みとして、事業が抱えるリスクを適正にコントロールしつつ、コスト削減と故障や事故の削減等のパフォーマンスの向上を図る事を目的としています。 

 

下水道事業の抱える問題点として、施設によって管理水準がバラバラ、過去の調査結果が使えない、劣化・故障情報や工事情報が残っていない、システム間の連携が無い、人によって作業手順がバラバラ、台帳の情報が不十分もしくは未整備、維持管理の方針が無い、予算と人員削減で仕事が回らない、計画修繕が出来ない等が挙げられます。 

 

これらの問題点を改善するために、市民に対するサービスの内容と品質の目標を明確にし、目標管理による業務運営を行い、劣化や故障、修繕履歴等の施設情報を把握・評価する事で維持管理や更新の手法を見直し、ライフサイクルコストの低減を図ります。 

 

また、情報を整理・共有する事で業務の標準化を行い、業務の効率性、確実性、安定性を担保すると共に、技術やノウハウの継承を図ります。 

 

そして、計画~遂行~分析・評価~改善のPDCAサイクルを通して、これらを達成する仕組みを構築・運用する事とされており、下水道に限らず市の業務に共通する課題でもあり、今後の自治体運営において積極的な取り組みが不可欠だと思います。 その②に続く。