IMG_40519月4日から20日の間、美保関沖事件の展示会が境港市海とくらしの資料館で開催された。












IMG_4057模型や多くの資料が展示され、主要メディアが採り上げたことから全国的にも注目される展示会となった。












IMG_4047昨年の「蕨」前部の発見に続き、今年は後部の発見撮影に成功した水中ドローン。












IMG_4050発見された後部は、設計図とも一致し沈没した「蕨」と確認された。












IMG_4049「蕨」の3Dシュミレーション図。













         〇美保関沖事件について        鳥取県議会議員 野坂道明

 

 昭和2824日、日本海で行われた旧日本帝国海軍連合艦隊の夜間演習で軍艦4隻が次々と衝突し、駆逐艦の「葦」や「蕨」が大破沈没して119名が犠牲となる「美保関沖事件」が発生した。

 

 当時の記録を見ると、美保湾に集結した連合艦隊の軍艦約70隻が灯火を消しての大演習中、本県の赤碕港沖で多重衝突事故が起きた。事故当時、多くの鳥取県民も救助と掃海作業に携わったとのことだが、「海の八甲田山」と呼ばれる海軍史上最大の事故は、まさに鳥取県を舞台にして起きた。

 

事故後、境港市の台場公園や松江市美保関町の五本松公園に慰霊塔が建立され、特に境港市では90年以上にわたって毎年慰霊顕彰が行われている。

 

近年では顕彰護持会や慰霊の会を中心に実施されているが、行政の支援もない中で施設は老朽化を迎え、高齢化と共に維持存続が大きな課題となっている。

 

 そのような中、昨年、慰霊の会や九州大学等の調査チームが水中調査を行い、赤崎港沖に沈没した駆逐艦「蕨」の船首部分を発見し、今年は水中ドローンを投入して、発見された船首部分から約15キロ沖の水深185mに沈む船体後部の撮影にも成功した。

 

慰霊の会は、本年94日から20日までの間、展示会と講演会を開催し、水中調査を含め美保関沖事件の詳細を報告された。展示会には山陰両県はもとより全国からも多くの来館者があり、常設展示を望む声が寄せられたとのことである。

 

水中調査を主導した本県在住の水中考古学者「山舩晃太郎」氏によると、近年、水中考古学が世界的に注目されており、日本においても文化財として如何に確立するかが今後の課題で、今回の発見は、その先進的モデルになるとのことであった。

 

また、境港観光協会の会長を務める読売テレビの結城豊弘氏は、美保関沖事件は全国荻に見ても大変貴重な歴史文化財だと興味を示された。

 

美保関沖事件を本県の貴重な歴史遺産として後世に繋いでいくことは極めて重要な取り組みであり、地方創生の柱となるものである。