厚労省は自治体に対し24日付で里帰り出産の自粛を要請した。緊急事態宣言の対象が全国に拡大される中、何とか移動を抑制したいとの考えは分かるが、あまりにも十把一絡げ、雑で見当違いも甚だしい。

岩手県では、首都圏から一時的に帰省していた妊婦が破水し、県の2病院が新型コロナウイルスの感染リスクを理由に受け入れを断り、最終的に、実家から救急搬送され、PCR検査で陰性が確認された後、帝王切開で出産したとの報道を目にした。

日本で唯一感染者が出ていない岩手県だが、主客転倒とは正にこのことである。

新型コロナウイルスの蔓延に伴い、感染者や最前線で戦う医療従事者、それらの家族に対し謂れ無い誹謗中傷や差別があると聞く。

数々の疫病と体制崩壊の歴史が語るように、体を蝕む新型コロナウイルスという感染症以上に、人間社会を崩壊に導く恐ろしい病だと感じた。